最高裁判所第三小法廷 昭和28(あ)5207 判決
主 文
本件各上告を棄却する。
理 由
被告人両名の弁護人福井盛太、同横田武、同宮沢邦夫の上告趣意第一点について。
論旨は単なる訴訟法違反、事実誤認の主張に帰し適法な上告理由とならない。
同第二点について。
論旨は公職選挙法二五二条の違憲を主張するけれども、その理由なきことは、当
裁判所の判例(昭和二九年(あ)四三九号同三〇年二月九日大法廷判決)の示すと
おりであるから、論旨は採用し難い。
同第三点について。
論旨は単なる法令違背の主張であつて、刑訴四〇五条に定める上告理由に該当し
ない。(被告人Aに対する控訴申立書の宛名が「広島高等検察庁松江支部」と記載
されていることは所論のとおりであるが、控訴は高等裁判所に対してなされるべき
ものであるのみならず、事実上右の控訴趣意書が高等裁判所に提出され高等裁判所
に受理されていることから見ても右の記載が誤記であることは明白である。)
被告人Bの弁護人塩坂雄策、同渡辺幸吉の上告趣意について。
論旨はいずれの点も単なる法令違背又は事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条の
上告理由にあたらない。(論旨第四点は控訴趣意書の無効を主張している。なるほ
ど控訴趣意書上告趣意書等に他の文書を引用し、しかも引用された文書の内容を示
していないためにこの趣意書だけによつては控訴又は上告の趣意を知ることができ
ない場合にはこれを適法の趣意書と認められないこと所論のとおりである。しかし
本件において広島高等検察庁松江支部検事事務取扱検察官検事片岡力夫が提出した
控訴趣意書を調べてみると、「別紙昭和二十八年八月二十四日附鳥取地方検察庁検
事鈴木知治郎作成に係る控訴趣意書の記載を援用する」として鈴木検事名義の「控
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訴趣意書」と題する書面を添附し、契印が施されてある。従つて右片岡検事は鈴木
検事作成の書面の記載内容をそのまま全面的に引用し、自己の控訴趣意書として提
出したものと認められる。すなわち引用の文書は控訴趣意書と一体をなしており、
趣意書のみによつて控訴趣意を知ることができるから、これを無効とすべき理由は
ない。)
また記録を調べてみても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。
よつて同四〇八条により、裁判官全員一致の意見を以て、主文のとおり判決する。
昭和三〇年四月一九日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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